シャーベットを作る実験という名の「エコカイロの仕組みと過冷却水」

娘が幼稚園の時に、とても興味深い実験教室に参加した。
お題目は「シャーベットを作る実験」という名前だったため、娘は大喜びで付いてきた。
もちろん騙したつもりはないが、娘のテンションはマックスだったと思う。娘が大好きな「シャーベット」を自分でつくれるのだから当たり前だ。
シャーベットを作る実験
凝固点の温度を知る
さて最初の実験は、普通にシャーベットを作るのだが、どちらかと言うと凝固点の温度を知ることが目的の実験になります。
常温で氷は少しずつ溶けていきますが、このとき周りの熱を奪って溶けていきます。この時の温度は0℃を維持しながら溶けていく。
ところが、この時に塩を混ぜると氷が溶けるスピードが早くなり(除雪材として塩を使うのはこのためかと)、同様に早く熱を奪っていくため、塩が入った氷は最低では-21℃まで下がるそうです。
そして食塩水自体は-21℃まで凍らないそうです。
ということで、水の凝固点は0℃、食塩水の凝固点は-21℃となります。
さて実験開始です。
洗面器に水をはり氷を大量に入れて冷やしておく。この時の温度は0℃です。
洗面器に水と氷をはり氷水として冷やす(温度は0℃〜-4℃程度)。
大きなスプーンの背の部分を氷水につけ、スプーンを冷やす。
先生がスプーンにジュースを入れる。
洗面器に大量の塩を投入するとみるみるうちに温度計の温度は下がりました。
実験は成功か?(と思いきや違うとのことでした)
ここでジュースが凍りますが、実はシャーベットになれば実験は失敗とのことです。
本当意図はジュースは凍らす液体状態を保ちつつ、ショックを与えることで、たちまちシャーベットが出来上がる、というのが目的だったそうです。
いわゆる「過冷却」の実験が本当の目的でした。
しかし、思うようには行かず、誰一人として成功した人はいなかった。過冷却の実験は部屋の温度も左右されるようで難しいそうです。
実験は失敗でしたが、子供達はシャーベットを食べてご満悦です。
過冷却を知る実験
実験は失敗であったが、ここの実験は「過冷却」を勉強するのが目的的です。私としてはここからがお楽しみでした。
物質は一般的に固体・液体・気体の三つの相を持ち、それらは温度と圧力の影響の元で決定される。詳細は相転移を参照されたいが、おおよそ温度が下がるにつれて気体→液体→固体へと変化し、その変化する温度は沸点・融点(凝固点)と呼ばれて物質の特性とされる。しかし、現実にはこれにあわない例が往々にして出現する。
難しい説明が苦手なので、詳しくは上記リンクおよび文章から確認いただきたい。一言で言うと、「液体が凝固点より低い温度まで冷却された状態」です。
水の例では。
水→水蒸気になる温度は100℃以上
水→氷になる温度が0℃未満(正確には0℃では固体にならない)
しかしながらこれに合わない例があり、水が0℃未満でも氷にならずに液体の状態でいるときがあり、この状態を過冷却水と言うそうです。
そして過冷却水に、ショックを与えると一気に氷になっていく、というのが実験の目的だったんです。
過冷却水を作る方法
過冷却水作るためには、ゆっくりと長い時間をかけて凍らす必要があります。
冷凍庫の温度を-5℃程度にする(チルドルームでも可)。
500mlのペットボトルに水(精製水が良い)を3/4ほど入れる。
キャップをしめて冷凍庫(チルドルーム)に入れる。
均等にゆっくりと冷えるようにタオルや包むと良い。
3〜4時間程度で過冷却水ができるそうです。
過冷却水はちょっとした振動でも、氷化が始めるのでキャップを開ける時は注意が必要ですね。 ちなみに私は一度もうまくできたことはありません。夏休みにもう一度チャレンジしてみたい。
エコカイロの仕組み実験
融点の温度が高いと・・
さらに面白いお話ですが、融点の温度が高いとどうなる?
融点とは固体が液体になる温度です。凝固点とは液体が固体になる温度です。
そして氷の融点は0℃です(氷が溶け始める温度)。
ある液体の融点の温度が常温より高かったらどうなるのかということです。
具体的には「酢酸ナトリウム」は融点が58℃です。この物質が常温では液体で過冷却状態でいますが、ショックを与えることで、液体が固体なろうとして温度を発します。
固体が液体へ変わる融点の温度に近付こうとするため、「氷」は熱を奪うが「酢酸ナトリウム」は融点が高いため、融点に近付こうと熱を発する、という意味だと理解している(解説が違っていたらすみません)。
「酢酸ナトリウム」は固体化されながら熱を1時間ほど継続するそうです。
固体化した「酢酸ナトリウム」は、沸騰したお湯で熱を加え融点を超えると、液体に戻り何度もカイロとして使用することができる。
中に入っている金具を「パチン」とするのは、ショックを与えているそうですね。
これがエコカイロの仕組みで「使い捨てないカイロ」と呼ばれている。という説明で実験は幕を下ろした。
いや〜感動でした。
たかが温度一つで、ここまで楽しい実験と解説して、もらえるなんて奥が深い実験でした。
しかし、このとき娘はシャーベットも食べ終え、目は「つまらない!」と機嫌悪そうに私を睨んでいた。

娘
「パパ!つまらない(怒り!)」

私
「娘よすまん!意味不明の実験に付き合わせてしまった。」
その実験の帰りは、寄り道をしてマックのシェィクでご機嫌を取りました。